転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく
アイリーシャが隠密持ちだと知られると、何かとやっかいなことになる。訳がわからないと言った様子だったけれど、エドアルトはうなずいてくれた。
「そうだな、たしかに、持っているスキルについては、内密にしておいた方がいいな」
こちらを見る彼は、令嬢達に囲まれていた時とは、まったく違う。少しだけ口角が上がって、柔らかな笑みをアイリーシャに向けていた。
(氷の……貴公子……? 違う、絶氷の貴公子って、そう呼んでた人達、何を見てるのかしら)
ひょっとしたら、彼のことをそう呼ぶ人達は、彼の本質を見ていないのではないだろうか。
「殿下、そろそろ中に戻らないと……」
「そうだな、手を」
いつまでも、ここで落ち込んでいてもしかたないだろう。立ち上がったアイリーシャは、素直にエドアルトの腕を借りる。
(……ん?)
その時、気がついた。自分達の周囲に多数の人の気配があることに。
「あの、殿下」
「なんだ?」
「私達、囲まれている気がする……のですが」
ここは王宮だ。だが、こんな風に囲まれているということは――まさか、盗賊が侵入してきたというのだろうか。
「そうだな、たしかに、持っているスキルについては、内密にしておいた方がいいな」
こちらを見る彼は、令嬢達に囲まれていた時とは、まったく違う。少しだけ口角が上がって、柔らかな笑みをアイリーシャに向けていた。
(氷の……貴公子……? 違う、絶氷の貴公子って、そう呼んでた人達、何を見てるのかしら)
ひょっとしたら、彼のことをそう呼ぶ人達は、彼の本質を見ていないのではないだろうか。
「殿下、そろそろ中に戻らないと……」
「そうだな、手を」
いつまでも、ここで落ち込んでいてもしかたないだろう。立ち上がったアイリーシャは、素直にエドアルトの腕を借りる。
(……ん?)
その時、気がついた。自分達の周囲に多数の人の気配があることに。
「あの、殿下」
「なんだ?」
「私達、囲まれている気がする……のですが」
ここは王宮だ。だが、こんな風に囲まれているということは――まさか、盗賊が侵入してきたというのだろうか。