転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく
庭園で顔を合わせた時が嘘だったように、エドアルトは無表情だった。アイリーシャにも、無言でうなずいただけ。
それよりも、背中にちくちくと突き刺さる会場中の人達の視線が痛い。
(……帰りたい。早く帰りたい……!)
心の声を駄々洩れにするわけにもいかないので、顔には笑みを張り付けた。こういう対処の方法は、前世できっちり身に着けたから大丈夫だ。
「アイリーシャ。エドアルトのことを頼むぞ」
「心より、忠誠を誓います」
王からかけられた言葉には用心深く返した。
「あなたもそろそろお年頃よね。そろそろ縁談を探すのかしら? ……エドアルトの縁談も、探さないといけないと思っているの」
頬に手を当てて王妃は微笑む。その笑みはにこやかなものであったけれど、アイリーシャは背筋が冷えるのを覚えた。
(そうよね、私、エドアルト殿下の婚約者候補の一人よね……)
先ほど声をかけてきたヴァレリアもそうだけれど、アイリーシャも公爵家の娘だ。そして、エドアルトはまだ婚約していない。
となると、アイリーシャやヴァレリアの他、何人かが今後エドアルトの妃の座を争っていくことになるのだろう。
それよりも、背中にちくちくと突き刺さる会場中の人達の視線が痛い。
(……帰りたい。早く帰りたい……!)
心の声を駄々洩れにするわけにもいかないので、顔には笑みを張り付けた。こういう対処の方法は、前世できっちり身に着けたから大丈夫だ。
「アイリーシャ。エドアルトのことを頼むぞ」
「心より、忠誠を誓います」
王からかけられた言葉には用心深く返した。
「あなたもそろそろお年頃よね。そろそろ縁談を探すのかしら? ……エドアルトの縁談も、探さないといけないと思っているの」
頬に手を当てて王妃は微笑む。その笑みはにこやかなものであったけれど、アイリーシャは背筋が冷えるのを覚えた。
(そうよね、私、エドアルト殿下の婚約者候補の一人よね……)
先ほど声をかけてきたヴァレリアもそうだけれど、アイリーシャも公爵家の娘だ。そして、エドアルトはまだ婚約していない。
となると、アイリーシャやヴァレリアの他、何人かが今後エドアルトの妃の座を争っていくことになるのだろう。