転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく
真正面からかかってきたヴァレリアは、まだましだった気がしなくもない。両親と一緒にいる間、どうしたって聞こえてしまった声。
過去、魔力を暴発させた娘。そのレッテルは、もう一生ついて回ることになる。
(だからって、あの時、他に何かできたわけでもないんだけど)
そう言えば、ひとつ気になるのは。
あの時、一緒に誘拐された男の子はどうなったんだろう。
あの人達の話を聞く分には、誘拐されたのはアイリーシャ一人みたいな話になっていたけれど。
「やっぱり、緊張してるんだろう」
「していませんよっ!」
こちらを見ながら、にやにやしてくるノルヴェルトから、ぷいと視線をそむける。
そんなことをしている間に、馬車は魔術研究所に到着していた。
魔術研究所は、王宮の裏手にある建物だった。昔は、離縁して戻って来た王女が生活していたという立派な建物だ。
アイリーシャとノルヴェルトが馬車を降りた時には、ミカルが外に出てきて待っていた。よく知っている顔を見つけてほっとする。
「――先生!」
「挨拶をすませたら、最奥の書庫に来てください。あなたに見てほしい本がたくさんあるんですよ」
過去、魔力を暴発させた娘。そのレッテルは、もう一生ついて回ることになる。
(だからって、あの時、他に何かできたわけでもないんだけど)
そう言えば、ひとつ気になるのは。
あの時、一緒に誘拐された男の子はどうなったんだろう。
あの人達の話を聞く分には、誘拐されたのはアイリーシャ一人みたいな話になっていたけれど。
「やっぱり、緊張してるんだろう」
「していませんよっ!」
こちらを見ながら、にやにやしてくるノルヴェルトから、ぷいと視線をそむける。
そんなことをしている間に、馬車は魔術研究所に到着していた。
魔術研究所は、王宮の裏手にある建物だった。昔は、離縁して戻って来た王女が生活していたという立派な建物だ。
アイリーシャとノルヴェルトが馬車を降りた時には、ミカルが外に出てきて待っていた。よく知っている顔を見つけてほっとする。
「――先生!」
「挨拶をすませたら、最奥の書庫に来てください。あなたに見てほしい本がたくさんあるんですよ」