転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく
「この棚から調べてもらえますか」
「この棚に置かれている書物は、そんなに大切なのですか?」
首をかしげるアイリーシャの方へ身をかがめ、ミカルはぼそぼそとささやいた。
「ここにあるのは、かつて、この国を襲った災厄について書かれたものと推測されています。いずれ、またこの国は災厄に見舞われる可能性が高いと、先人が残してくれた記録ではないかと」
「災厄、ですか……」
ひょっとすると、その中に魔神に関する情報もあるかもしれない。アイリーシャはうなずいた。
「わかりました」
ミカルがそう言うのなら、まずはこの棚から調べてみよう。背表紙をじっと眺め、かつての大魔術師の名が記された本を手に取ってみる。
「開けますか?」
「いえ……これは、無理そうです」
書物にはたしかに防御の魔術がこめられている。だが、今は開くことができなそうだ。
(神様がいてくれたら、開き方を聞けたかもしれないのに)
とはいえ、それはないものねだりというものだ。アイリーシャは、頭を振って神様のことは頭から追い払うと、次の書物を手に取った。
午前中は記録保管庫で過ごし、昼食には外に出る。
「この棚に置かれている書物は、そんなに大切なのですか?」
首をかしげるアイリーシャの方へ身をかがめ、ミカルはぼそぼそとささやいた。
「ここにあるのは、かつて、この国を襲った災厄について書かれたものと推測されています。いずれ、またこの国は災厄に見舞われる可能性が高いと、先人が残してくれた記録ではないかと」
「災厄、ですか……」
ひょっとすると、その中に魔神に関する情報もあるかもしれない。アイリーシャはうなずいた。
「わかりました」
ミカルがそう言うのなら、まずはこの棚から調べてみよう。背表紙をじっと眺め、かつての大魔術師の名が記された本を手に取ってみる。
「開けますか?」
「いえ……これは、無理そうです」
書物にはたしかに防御の魔術がこめられている。だが、今は開くことができなそうだ。
(神様がいてくれたら、開き方を聞けたかもしれないのに)
とはいえ、それはないものねだりというものだ。アイリーシャは、頭を振って神様のことは頭から追い払うと、次の書物を手に取った。
午前中は記録保管庫で過ごし、昼食には外に出る。