転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく
昼食は各自好きなタイミングで取ることができる。自宅から持参する者もいれば、研究所内の食堂ですませる者もいる。
(お兄様が一緒に食べようって言ってたから……)
ノルヴェルトは、そこそこ偉い地位についているらしく――家柄のせいもあるかもしれない――独立した部屋を持っている。そこに昼食が届けられるそうだ。
兄の部屋に向かって廊下を歩いていると、ひそひそとささやく声が聞こえてきた。
(……身を隠しておいた方がよかったかなぁ……)
心の中でぼやいた。
先日、王宮で大変な目にあったばかりだし、ここは王宮の敷地の中にある。むやみやたらにスキルを発揮するのはよくないだろうと思っていたけれど、こうもひそひそ言われるものだとは思ってもいなかった。
「……アイリーシャ様が、今日からこちらに来るのですって」
「殿下の婚約者でしょう?」
「いえ、そういうわけでもなさそうですよ。魔力を暴発させたことがあるそうなので、殿下のお相手には不向きなんじゃないかしら」
この研究所にいるのは、基本的には貴族が多いはずだ。
(お兄様が一緒に食べようって言ってたから……)
ノルヴェルトは、そこそこ偉い地位についているらしく――家柄のせいもあるかもしれない――独立した部屋を持っている。そこに昼食が届けられるそうだ。
兄の部屋に向かって廊下を歩いていると、ひそひそとささやく声が聞こえてきた。
(……身を隠しておいた方がよかったかなぁ……)
心の中でぼやいた。
先日、王宮で大変な目にあったばかりだし、ここは王宮の敷地の中にある。むやみやたらにスキルを発揮するのはよくないだろうと思っていたけれど、こうもひそひそ言われるものだとは思ってもいなかった。
「……アイリーシャ様が、今日からこちらに来るのですって」
「殿下の婚約者でしょう?」
「いえ、そういうわけでもなさそうですよ。魔力を暴発させたことがあるそうなので、殿下のお相手には不向きなんじゃないかしら」
この研究所にいるのは、基本的には貴族が多いはずだ。