転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく
「お帰りになる前に、護衛に見つからず、見て回り……ます……か……?」
勢いよく差し出したものの、言葉の後半はゆらゆらと不安定に揺れてしまった。
よく考えたら、こちらから手を繋ぎましょうと言っているようなものだ。
(わ、私、何を言ってるんだか――!)
エドアルトは、女性の方から迫られるのは好まない。それは、彼に撃沈してきた他の令嬢達を見ていればすぐにわかる。
「あ、あのですね! 他意はないんですっ! ただ、その……私の、"隠密"は、手を繋いでいないと他の人まで効果が及ばなくてですね……」
慌てて手を引っ込めようとすると、その手を取られた。
「そういう厚意なら、ありがたく受け取る!」
彼の声が少し弾んでいるのは、アイリーシャのうぬぼれか。
「こら、足にじゃれつかないの」
「ルルは、俺が抱こうか」
片方の手でエドアルトがルルを抱き上げ、もう片方の手はアイリーシャとつなぐ。
ゲームの中では、スキルを保有している本人しか使えなかったけれど、ここはゲームと同じ世界ではあっても、ゲームそのものではない。
(……なんだか、ドキドキしちゃう)
勢いよく差し出したものの、言葉の後半はゆらゆらと不安定に揺れてしまった。
よく考えたら、こちらから手を繋ぎましょうと言っているようなものだ。
(わ、私、何を言ってるんだか――!)
エドアルトは、女性の方から迫られるのは好まない。それは、彼に撃沈してきた他の令嬢達を見ていればすぐにわかる。
「あ、あのですね! 他意はないんですっ! ただ、その……私の、"隠密"は、手を繋いでいないと他の人まで効果が及ばなくてですね……」
慌てて手を引っ込めようとすると、その手を取られた。
「そういう厚意なら、ありがたく受け取る!」
彼の声が少し弾んでいるのは、アイリーシャのうぬぼれか。
「こら、足にじゃれつかないの」
「ルルは、俺が抱こうか」
片方の手でエドアルトがルルを抱き上げ、もう片方の手はアイリーシャとつなぐ。
ゲームの中では、スキルを保有している本人しか使えなかったけれど、ここはゲームと同じ世界ではあっても、ゲームそのものではない。
(……なんだか、ドキドキしちゃう)