転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく
第八章
屋敷の廊下を歩いていたアイリーシャは、前から人が歩いてくるのに気づいて身を潜めた。
「お嬢様、どちらにおいでですか?」
壁にぺたりと張りつくようにして、アイリーシャは相手をやり過ごす。どうやら、アイリーシャを探しているようだ。
ルルを腕に抱いたまま、ほっと息をつく。腕の中からルルが見上げてきた。
「行かなくていいの?」
「いいのいいの。だって、私の顔を見たいってだけでしょ。最近、多いのよね……研究所の方も騒がしくて」
以前、ルルを抱えて逃走していた時とは違う。
アイリーシャが、倒れた人達の呪いの解除をしたということで、アイリーシャの株が急上昇。 おかげで、アイリーシャと友好的な関係を結びたいという人が、次から次へと屋敷に押しかけてくるようになったのだ。
"聖女"なんて呼ぶ人も出始めて、若干げんなりしているところではあった。
「……嫌?」
「そうね。できれば、そっとしておいてほしいかな」
できれば、今回の人生は地味に生きたかったのだが――神様との約束もあるのでしかたない。
(……研究所に、避難させてもらおうかな)
「お嬢様、どちらにおいでですか?」
壁にぺたりと張りつくようにして、アイリーシャは相手をやり過ごす。どうやら、アイリーシャを探しているようだ。
ルルを腕に抱いたまま、ほっと息をつく。腕の中からルルが見上げてきた。
「行かなくていいの?」
「いいのいいの。だって、私の顔を見たいってだけでしょ。最近、多いのよね……研究所の方も騒がしくて」
以前、ルルを抱えて逃走していた時とは違う。
アイリーシャが、倒れた人達の呪いの解除をしたということで、アイリーシャの株が急上昇。 おかげで、アイリーシャと友好的な関係を結びたいという人が、次から次へと屋敷に押しかけてくるようになったのだ。
"聖女"なんて呼ぶ人も出始めて、若干げんなりしているところではあった。
「……嫌?」
「そうね。できれば、そっとしておいてほしいかな」
できれば、今回の人生は地味に生きたかったのだが――神様との約束もあるのでしかたない。
(……研究所に、避難させてもらおうかな)