転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく
不意に涙が零れそうになった。
次の世界に向かうための通過点に過ぎない生だったはずなのに。
胸が熱い。
(――決意は、できた)
アイリーシャは、両手を高く上げた。まるで、天に向かって祈りを捧げているかのように。
ひとつ、ふたつ、三つ。
数を数える間に、像がまばゆく輝きだした。
空から、いくつもの星が落ちてくる。まだ空は明るく、ここは教会の中だというのに、星が次から次へと降って来た。
その星は、アイリーシャの身体を通過し、床へと吸い込まれていく。
ひときわまばゆく輝いたかと思ったら――目の前に現れたのは、美しい一本の槍だった。三又の槍は、根の部分に宝石がはめ込まれている。
戦用というよりは、儀式に使うもの。そんな風に見えた。
「これが――聖槍」
両手でそれを捧げ持つ。ずしりと重いそれは、アイリーシャに使命を告げているかのようだった。
「時間がない、急いで!」
神様に急かされ、それを手に外に出る。
「――やっと来たか」
教会の外に出た時、よく知った声をかけられた。知っている声なのに、まるで別人の声のようだ。
次の世界に向かうための通過点に過ぎない生だったはずなのに。
胸が熱い。
(――決意は、できた)
アイリーシャは、両手を高く上げた。まるで、天に向かって祈りを捧げているかのように。
ひとつ、ふたつ、三つ。
数を数える間に、像がまばゆく輝きだした。
空から、いくつもの星が落ちてくる。まだ空は明るく、ここは教会の中だというのに、星が次から次へと降って来た。
その星は、アイリーシャの身体を通過し、床へと吸い込まれていく。
ひときわまばゆく輝いたかと思ったら――目の前に現れたのは、美しい一本の槍だった。三又の槍は、根の部分に宝石がはめ込まれている。
戦用というよりは、儀式に使うもの。そんな風に見えた。
「これが――聖槍」
両手でそれを捧げ持つ。ずしりと重いそれは、アイリーシャに使命を告げているかのようだった。
「時間がない、急いで!」
神様に急かされ、それを手に外に出る。
「――やっと来たか」
教会の外に出た時、よく知った声をかけられた。知っている声なのに、まるで別人の声のようだ。