転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく
赤い髪が印象的だ。青い瞳は、まっすぐこちらに向けられていた。
(……ん?)
けれど、周囲の空気がおかしい。少年とアイリーシャを見るまなざしは、微笑まし気なものだ。
アイリーシャの友人候補……にしては、年が離れている。兄達よりも年上のようだし、友人ではなさそうだ。
となると、どこかの家の跡取りが挨拶に来たとかそんなところか。
「お誕生日、おめでとうございます」
「あ、ありがとうございます……?」
少年が差し出したのは、巨大な薔薇の花束だった。五歳児に贈るにはちょっと大きすぎやしないか。
(……でも、お花に罪はないし)
この国の貴族がどういうものかよくわからないけれど、消え物だしちょうどいいんじゃないだろうか。なんてアイリーシャは気楽に花を受け取った。
「ばあや、お部屋に飾って?」
「は、はい! ただちに!」
乳母を呼べば、慌てた様子で花束を受け取る。ということは、目の前の少年はけっこうな家柄の人物と推測できる。
「私は、ミカル・ブリード。王太子殿下の名代で参りました。アイリーシャ様に、心からお祝い申し上げます」
(……ん?)
けれど、周囲の空気がおかしい。少年とアイリーシャを見るまなざしは、微笑まし気なものだ。
アイリーシャの友人候補……にしては、年が離れている。兄達よりも年上のようだし、友人ではなさそうだ。
となると、どこかの家の跡取りが挨拶に来たとかそんなところか。
「お誕生日、おめでとうございます」
「あ、ありがとうございます……?」
少年が差し出したのは、巨大な薔薇の花束だった。五歳児に贈るにはちょっと大きすぎやしないか。
(……でも、お花に罪はないし)
この国の貴族がどういうものかよくわからないけれど、消え物だしちょうどいいんじゃないだろうか。なんてアイリーシャは気楽に花を受け取った。
「ばあや、お部屋に飾って?」
「は、はい! ただちに!」
乳母を呼べば、慌てた様子で花束を受け取る。ということは、目の前の少年はけっこうな家柄の人物と推測できる。
「私は、ミカル・ブリード。王太子殿下の名代で参りました。アイリーシャ様に、心からお祝い申し上げます」