転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく
 "王太子殿下の名代"という言葉に顔が引きつりそうになる。
 ミカルは、にこにことしながら、アイリーシャと目線の高さを合わせてきた。

(……あれ?)

 ミカルを見ていると、なんだかもぞもぞと落ち着かない気分になる。そっと半歩あとずさったら、ミカルは困ったような笑みを浮かべた。

「アイリーシャ様は、魔術の素質があるのかもしれませんね。私の魔力が、不快に感じられるようです」
「ごめんなさい……?」

 そうか、これは不快なのか。というか、お祝いの品を持ってきてくれた人を嫌だと思うなんてどうかしている。

「いえ、謝らないでください。私の魔力を感じ、自分の魔力と違うと感じることができるのは、魔術の才能があるということなのですよ。アイリーシャ様が、もう少し大人になって、制御のしかたを覚えれば、問題ありません」
「そう?」

 せっかくの使者に不愉快な思いをさせないですんでよかった。

(となったら、エクストラスキルとやらに目覚めるのも、そんなに難しくないかも?)

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