転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく
 ゲームの中では、すべてのスキルを使用するのに、MPを使用していた。これがこちらの世界では魔力と呼ばれているらしい。体内にためる魔力の量が多ければ多いほど、たくさんの魔術を使うことができるというわけだ。
 先ほど、神様から聞かされた言葉を、完全に理解しているわけではないけれど、普通のスキルの上位レベルってことなんだろうと解釈している。

「ええ。それは、確実ですとも」
「その時には、よろしくお願いしますね」

 ミカルは丁寧に一礼し、それからその場を立ち去った。これ以上、長居するつもりはなかったようだ。

「ミカル様って、宮廷魔術師の筆頭でしょう。たしか、まだ十五歳だと聞いているわ」
「王太子殿下の側近なのよね」

 アイリーシャの周囲にいた女性達がひそひそとささやき合う。

「ねえ、ダリア。宮廷魔術師って何?」
「王宮で、魔術の研究をしている人よ。」

 宮廷魔術師ってなんだろうと思っていたら、ミリアムとダリアの話から推測できた。だが、それ以上に驚いたことがある。

(……え、あれで十五……! お兄様達よりは年上だろうなと思ったけど!)

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