転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく
 属性魔術は、属性がないと使えない。これもまた、教会でどの魔術に属性があるのかを判断してもらうのが基本だ。そして、神聖魔術と暗黒魔術については現在は、失われたとされている。
 そんなわけでアイリーシャは、自然発生したということで、絶賛"隠密"スキルの特訓中であった。隠密スキルに目覚めているのは、家族にも内緒だ。
 ちょっぴり神様が手伝ってくれたので、最初の段階に到達するのは早かった。

「お嬢様、どこにいるんですか?」
「ばあやの目から隠れられたのなら完璧ね」
「まあ、相手がばあやだからな」

 隠密スキルを発動し、乳母の後方に移動する。途中でメイドとすれ違ったけれど、彼女もアイリーシャの存在には気づいていないようだった。

「ばあや、ここ!」

 驚かさないよう、少し距離をあけたところで、スキルを解除する。振り向いた乳母は、胸に手を当てた。

「あらまあ、こんなところにいらしたのですか。驚いてしまいましたよ」
「探した?」
「探しましたとも!」

 よし、と乳母の間前で拳を握りしめる。探したというのなら大成功。にやりとしているのを気づかれないように隠す。

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