転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく
 ゲームの世界に転生したとはいえ、アイリーシャが今いるのは、ゲームが始まる三百年前。
この世界で義務を果たさなければ、望んだ立場につくことはできないという制約付きの転生なのだ。
その義務が、"聖女"としてこの世界を滅ぼそうとしている魔神と戦うことというのはどうかと思うが、こちらには神様がついているし、魔物を倒せるくらいの実力は身に着けた。
魔神が出てきたところでどうにかなるだろう。

(待っていてよ、モニカたん。私が、完璧に導くから……!)

にやり、と公爵家令嬢としてはありえない笑いを漏らしかけ、慌てて表情を引き締める。集中力を失ったら、"隠密"活動ができなくなってしまう。
それにしたって、"玉"に転生したつもりが、公爵家令嬢だなんてあんまりだ。前世といい、今回の人生といい、人目にさらされる立場というのは変わりないものらしい。
 だが、義務さえ果たせばあとは自由と転生させてくれた神様からもお墨付きをもらっている。
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