転生令嬢はご隠居生活を送りたい! 王太子殿下との婚約はご遠慮させていただきたく
先ほどからすれ違う使用人達は、ちらちらとこちらに視線を送っている。もちろん、目だないようにしているのだろうけれど、見られているのはわかる。
それは、父と一緒に働いている人達も同様で、長い廊下を歩いていく間、居心地悪くてしかなかった。
人目につきたくなくて隠密スキルを身に着けたはずなのに、母と手を繋いでいるから隠れるわけにもいかない。
どうしてこうなった。
「アイリーシャを連れてまいりました、陛下」
うんざりするほど長い廊下を歩かされ、ついた先では国王が待ち構えていた。
「そなたがアイリーシャか」
奥の椅子に座っていた国王は、気さくに立ち上がるとこちらに近づいて来た。
アイリーシャは固まった。
(……陛下って、こんな顔をしていたの……!)
ワイルド、とかコワモテ、とかそんな言葉が頭の中に浮かんだ。黒い髪は、短くてツンツン立っている。髭が顔の半分を覆っていて、国王というより山賊と言った方がまだ納得できそうだ。身に着けているのは、山賊がまとうにはあまりにも豪奢な衣服であったけれど。
それは、父と一緒に働いている人達も同様で、長い廊下を歩いていく間、居心地悪くてしかなかった。
人目につきたくなくて隠密スキルを身に着けたはずなのに、母と手を繋いでいるから隠れるわけにもいかない。
どうしてこうなった。
「アイリーシャを連れてまいりました、陛下」
うんざりするほど長い廊下を歩かされ、ついた先では国王が待ち構えていた。
「そなたがアイリーシャか」
奥の椅子に座っていた国王は、気さくに立ち上がるとこちらに近づいて来た。
アイリーシャは固まった。
(……陛下って、こんな顔をしていたの……!)
ワイルド、とかコワモテ、とかそんな言葉が頭の中に浮かんだ。黒い髪は、短くてツンツン立っている。髭が顔の半分を覆っていて、国王というより山賊と言った方がまだ納得できそうだ。身に着けているのは、山賊がまとうにはあまりにも豪奢な衣服であったけれど。