仮面をはずせば、
仮面をはずせば、
となりの席の茶屋くんは、人気者の男の子。
めずらしい名字だから、茶屋くん茶屋くんってみんなによく呼ばれてる。
そんな茶屋くんのとなりに座るわたしは、ずっと彼のことが気になっていた。
「麦生さん、消しゴム落としたよ」
「あ。ありがとう、茶屋くん」
「どういたしまして」
「……あの、」
にこりと人のいい笑顔を浮かべたから、チャンスだと思ったのに。
わたしのことをさえぎるように背を向けられて。
茶屋くんは、そのまま友達との談笑にもどってしまった。
……さわやかで、誰にでも優しい茶屋くんは
なぜかわたしにだけちょっと冷たい。
それはたぶん、というか確実な理由があって。
──────わたしが疑ってることに気づいているから。
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