仮面をはずせば、
「わたしのほうに書いてもいいよ。スペースも空いてるし」
「ん、いやいーよ。俺、字汚いし。恥ずかしいから」
すこし照れたように頬をかく。
ほら、まただ。貼りかえた。
説明してもらってるのに悪いとは思ってる。
それでも彼のととのった横顔を見つめていたら、ふいっと顔を背けられて。
かすかに届いたため息は、午後の眠くなる空間にじわりと溶けて消えた。
なんで茶屋くんは仮面をつけているんだろう。
そこに理由があって、たとえば重く苦しいものだとしたら。
なんて声をかけたらいいのかな。
……ううん。そんなのどうだっていい。
だってわたしが知りたいのは──────
このかわしかわされの関係に終止符を打つべく、わたしは放課後、“それ”を決行することにした。
放課後になって、日直の茶屋くんが自分の席で日誌を書いている。
そのよこを通りすぎたわたしはカバンを持って、教室をあとにしたのだった。