腹黒幼馴染、天使を捕獲する。
社長!?
なんで? お断りしたいのに!

「光、この場で確実にお断りした方がいい。
改めてになると、また約束するところから始まるぞ」

江上先輩には聞こえない程の小さな声で、社長がそう言った。

……なるほど。
改めてなんてごめんだ。

「社長、すみません。
すぐに戻ります」

社用車から少し離れて、江上先輩に向き合った。

「先日、父から江上先輩のお話は聞きました。
でも、その場でお断りさせていただいたのですが……父から伝わっていませんか?」

「……聞いたよ。
でも、諦めきれないんだ。
ずっと好きだったんだ。光ちゃんのことが。
もう一度考えてもらえないだろうか?」

えぇ〜?
ずっと好きだったって、まさかでしょう。

「……江上先輩、藍香とお付き合いされてましたよね?
ずっと好きだったって言うのは、ちょっと無理があるのでは……」

「違うんだ!」

江上先輩が私の両腕をガシッと掴んだ。
力が強くてちょっと怖い。
それにちょっと……お酒臭い?
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