腹黒幼馴染、天使を捕獲する。
「あの、お気持ちは有り難く思いますが、私はまだ結婚するつもりはありません。
それに……江上先輩のことは、やっぱり藍香の元カレだとしか思えないんです。
……ごめんなさい」

「光ちゃん!」

「はい、時間切れ。
離れてね。あ、腕から手を離してくれる?
ごめんね、今から仕事なんだ。
申し訳ないけれど、これで失礼するよ。
……あと、今、君は光に振られたんだよね?
もし今後も、私の可愛い姪に付き纏うなら、こちらも考えさせてもらうから。
まずは弁護士に相談する。」

「…っ!! つ、付き纏ったりは……。
……お仕事中、失礼しました」

そう言って、悔しそうな顔をした江上先輩は走り去っていった。

「……ハァ……」

なんかどっと疲れた。

「光、後で話を聞いてやるから、とりあえず今は気持ちを切り替えろ。
ポラリスグループに、自慢の秘書のお披露目なんだ。わかってる?」

「あ、はい!
大丈夫です。

……叔父さん、終わったらrockabillyに行きたいな」

「お、久しぶりだな。
よし。懇親会の後行こう!」


ポラリスのゲストハウス全体を使ったプロジェクションマッピングは圧巻だった。
これは目玉になるだろう。

ただ、やっぱり出掛けにあんなことがあったので、どうしても気持ちが晴れない。

絶対に欠かせない方々への挨拶を終えて、閉会を待たずに退散することになった。







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