腹黒幼馴染、天使を捕獲する。
「斎、お前も……ちょっとスタンダードから外れてるぞ?」

「何でだ?
俺は、好きな女を好きだって、シンプルに思うだけでいい。もちろん、気持ちは双方向じゃないとダメだ。だから、こっちに振り向かせるのは早ければ早いほどいい。
見つけたら速攻で言う。で、捕獲。
シンプルが1番だ」

「……うん。
シンプル、いいね。
でも、普通は出会ってても気付かなかったり、なかなか伝えられなかったりするものなんだよ。
あー、あとはなかなか出逢えなかったりってのもあるな」

「でも、出逢えただろ、お前も」

「……あぁ。そうだなぁ」

櫂人さんは結婚が遅かった。
生活が夜型だったのも大きいけど、三男だからと、特に結婚を意識していなかったみたいだ。

長男さんや次男さんには、ちゃんと結婚して奥様もお子さんもいたからね。

しかも……

「悠人(ゆうと)くん、幼稚園に慣れましたか?」

「あぁ。すごく楽しそうにバスに乗って行くよ。毎日ここが終わってから、バス停に悠人を見送って仮眠することにしてるんだ」

「へぇ! 園パパデビューしてるんですね!」

「おじいちゃんに見えないか、心配だよ」

「えー、見えないですって!」

そう。
お子さんもまだ年少さんなのだ。
もちろん、聖堂館学園の幼稚園に入園している。

岩橋家は家系的に男系で、賢人の従兄弟は皆んな男の子だ。

理人くんにも、男の子が1人いる。

それも、悠人くんと同じ歳の男の子、岩橋来人(らいと)くんだ。
この子がいずれ岩橋屋グループを継ぐことになるだろう。
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