腹黒幼馴染、天使を捕獲する。
正直、雅おばさんの迫力に圧倒されていた。
この人、すごい人だ。なんかオーラが違う。
外見はかなり若見えで、40代にしか見えない。
ただ優しそうな、品の良い奥様って感じなのに。1年に一度、ミサで会うだけではわからなかった。
聞いてはいたけれど、HASEGAWAの影の支配者と言われているだけあるな。

その後、光は一度会社に戻り、午後休と翌日の有給休暇を申請し、会社を後にした。




思いがけず、2人の時間が出来た。
今まで、光の部屋で過ごす事はあっても、2人でどこかに出かける事はなかった。

大学時代はお互いにバイトが忙しくて、やはり光の部屋で会うだけだったから。

社会人になって、初めて日中に2人で街を歩くことになった。

すぐにマンションに戻るのか?

光を見ると、唇を尖らせて、眉間にシワを寄せている。……これは機嫌が悪い。

あまりにも突然の流れだったからな。
母親達も無茶をする。

「光? ……大丈夫か?
……その、突然だったからな」

「賢人! 話をしよう」

「あ、ああ」

やっぱり怒ってる?
突然、キャリアを駄目にして俺について行けって言われたんだもんな。
怒って当然か……。

俺たちはマンションに戻らずに、近くの公園に行くことにした。

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