腹黒幼馴染、天使を捕獲する。
軌道修正
その週の土曜日から、私は実家に戻ることにした。

土曜日の朝、賢人はマンションから出勤する際も、心配し続けていた。

「勝手に行くなよ。
坂上先生の車しか乗ったらダメだぞ。
ここまで迎えに来てもらうんだぞ」

「わかってるよ。心配症だねぇ。
お父さん、午後から来てくれるから。
連泊になるから、私も荷物まとめないといけないね。
あと、お惣菜も置いておけないしなぁ……」

「まさか捨てるのか?
ダメだぞ。それなら俺が持っていく」

「えぇ?だって仕事でしょう?
寮に寄るの?」

「厨房の冷蔵庫に入れさせてもらう。
保冷バッグに入れてくれ」

有り難いけど、なんか生活感溢れたやり取りだなぁ……。
付き合い長いと、こんなものよね?

想いを伝え合ったと言っても、そんな簡単に変われるものじゃない。
まあ、甘いトークなんて苦手だから、これで私は充分なんだけど。


「光……」

「え?」

見上げると、賢人が屈んでキスをしてきた。
優しい優しいキス。
やっぱり……いつもよりちょっと甘い。
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