腹黒幼馴染、天使を捕獲する。
初めての夜
大学に入学してからも、なぜか賢人からの連絡は途絶えなかった。

予備校のない日は、いつの間にか私の部屋で夕飯を食べて帰るようになっていた。
食費まで入れてくれる。

私も、1人分だと作り置き惣菜だけで済ませちゃうけど、誰か食べてくれる人がいると、料理のやり甲斐もあるので、夕飯を振る舞うのは楽しみだった。

でも、問題は距離感だ。
あの公園でのファーストキス以来、やたらと構ってくる。

それに、キスだって、緊張感があったのは公園の時だけ。
軽いキスを何度もされれば、すっかり慣れちゃって、受け入れて当然のようになってくる。
イメージ的には外国人の挨拶みたいに。

うーん、いいのだろうか。
私達、日本人だよ?

懐かれているんだろうと思う。

でも、本物の天使みたいに可愛くもないし、年上だし、申し訳なくて。

年上なら年上らしく、毅然とした態度で接すればいいんだろうけど、それも今更だ。
なんだか弱いところも既に見せてしまっている。

いいのかなぁ……。

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