腹黒幼馴染、天使を捕獲する。
天使の失恋　side賢人
この年、兄貴の海外研修と結婚が決まった。
まだ大学を出て1年目。
海外研修が終わってから結婚式を挙げても遅くない。でも、きちんとした形で連れていきたいという兄貴の考えもわかる。

季節はクリスマスシーズンに入っていた。
ヘブンリーゲートブリッジホテルのチャペルは満員御礼で空いていない。
平日にもメンテナンスと工事の予定が入っていた。

そこで2人は、母校の大聖堂で挙式が出来ないか、聞いてみる事にしたらしい。
幸い、学生時代から何度も事務局や神父様と交流があったため、忙しい中、1月の土曜日を空けてくださった。

その申し込みが終わった、と兄貴から連絡があったのは、クリスマスミサが終わって、そろそろ光を迎えに行くつもりで学校を出ようした時だった。

まさか……
光と鉢合わせしてるんじゃないだろうな。

けど遅かった。

正門前で会った兄貴の口から光の名前が出た瞬間、俺は駆け出していた。

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