腹黒幼馴染、天使を捕獲する。
「……天使」

「え?」

「天使みたいな子」

「……」

伝わったか?
これ、告白だぞ。

「……それ……鉄平は知ってるの?」

「は? 鉄平⁇
いや、誰にも言ってないけど……。
あ! そっか……」

コイツの中では『天使イコール恵』なんだな。
やっぱ鈍い。
そう簡単に伝わるわけないか。
気負っていたのに、力が抜けた。
……光らしい。

「ん?……どうしたの?」

「いや、なんでもない。
俺の好きな子のことは誰も知らない。
まあ、ヒントだって、今初めて言った。
だから誰にも言うなよ?」

「あ、うん!
言わない! 絶対言わないからね」

これ、鉄平とメグに伝ったら大変だ。
とんでもない誤解を招く。
天使の妹の方に興味はないのに。

「俺と光だけの秘密だからな」

「うん、うんっ! もちろんだよ!
あ、私も。
賢人、誰にも言わないでね?」

「……ああ」



これはひょっとして……
攻め時かもしれない。

光は完全に失恋した。
申し訳ないけれど、俺にはチャンスだ。
それに……多分今現在、光の一番そばにいる男は俺だと思う。いや、間違いない。

よし。
仕留めるぞ。
……と言ってもこの鈍感ぶりだ。
長期戦になりそうだが……。

< 90 / 215 >

この作品をシェア

pagetop