腹黒幼馴染、天使を捕獲する。
「弟さん?
なんだ、一緒に住んでるんだったら言ってよ。
一人暮らしじゃなかったんだ。
じゃ、また寄るよ。
聖堂館の弟さん、またね」

……この男。
上がり込んでヤロうとしてたな。
しかも……クソっ!
よりによって制服を着ている時に……。

「え?
あれ、今井さん、トイレは?」

「あー、別にいいよ。
また来月のサークルでね。」

そう言って非常階段を降りていった。

「あれ? 良かったのかな?」

この状況に全く気づいていない。

「……光、早く中に入れ」

「あ、うん。
賢人、どうしたの?
今日は帰りが遅くなるって言っておいたよね?
なんか食べた?
冷蔵庫に色々入っていたでしょう?」

「……あの男、なんだよ?」

「え? だからサークルの先輩の今井さん」

「なんで家に入れようとした?」

「だから、トイレを貸して欲しいって言われたから…」

「それが口実だってなぜわからない⁉︎」

落ち着け、俺。
この無防備な鈍感娘は気づいてないんだ。
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