復讐の哀姫
瞬のもとに駆け寄ると、腕を掴まれた。


な、なに?


「たまには俺んとこも来いよ」


切なげなその瞳が揺れる。


『…わかった。行くから!』


テキトーにそう言い流したのには理由がある。


瞬の目をみると、自分の心の内を悟られそうな気がして怖かったから。


いつの間にか、復讐なんてワードは薄らと滲んでいた。
< 63 / 195 >

この作品をシェア

pagetop