私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
母は私が小さい時に妖に襲われて亡くなった。
それから家族三人仲良く力を合わせてやってきたのだけど、気づいたら尊も加わっていた。気づいたらというのは、本当に私が知らない間にうちにいたから。
私は六歳の頃に生死を彷徨ったことがあって、一年間ずっと昏睡状態だったらしい。
それで、ある日目覚めたら彼がいたのだ。
うちの他の使用人とは違う準家族的な扱いで、尊が十代の頃は彼も一緒にこのテーブルで食事をしていた。
だが、成人すると急に自分で執事服を用意して、私専属の執事にーー。
まあ、彼が十代の時も何かと私の世話をしてきたから、やってることはあまり変わらない。
いつも尊にかわいくない態度を取ってはいるがそれは甘えであって、私にとって尊は使用人ではなく家族。
いただきますをして食べ始めるも、さっきの父と兄の話が気になった。
「ねえ、何の話をしていたの?」
父と兄に尋ねると、父が持っていた箸を止めて答えた。
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