私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
その血の気のない顔を見てゾクッと寒気がした。
一体何が起こっている?
妖の気配なんて全くしないのに……。
「そんなこと言ってる場合じゃないだろ!何があった?」
我を忘れて撫子に問うが、彼女は俺の腕の中で意識を失った。
「やだ……撫子……」
気を失った撫子を見て春乃さんが激しく動揺する。
「春乃さん、教室で何かありませんでしたか?」
感情を抑えて春乃さんに尋ねると、彼女は彼女の手に巻いてあるハンカチに目を向けながら答えた。
「カラスが教室のガラスを割って入ってきたんです。私は彼女が守ってくれて怪我はしませんでしたけど、撫子は手にガラスの破片が刺さって……。でも、それだけです。こんなひどい状態になるような怪我はしてません」
「あっ、カラスが教室に突進するところ俺も見た。でも、ただそれだけで妖は現れなかったけどなあ。今雑魚の妖も一匹もいないだろ?」
隼人が会話に割って入って来て俺に意見を求める。
< 123 / 241 >

この作品をシェア

pagetop