私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
そう、俺の感知能力が落ちていなければ、今、学校の敷地内には妖は全くいない。
ネックレスの石だって何の反応もなかった。
だが、この静けさは何だか不気味だ。
強い妖が気配を消して、学校に潜伏しているのではないだろうか?
上級の妖ならば、気配を消すぐらい訳もないだろう。
「裏を返せば、雑魚の妖がいなくなるほどの怖い妖がいるということではないですか?」
俺の考えに近くにいる琥珀が深く頷いた。
「言われてみれば。なんとなく違和感を覚えたのはそれだったのかも」
「そう言えば、お嬢ちゃんに結界張ってたんだろう?俺の身体を弾くくらい強い結界だ。ガラスの破片くらい弾くんじゃないのか?」
「そうですね。いつの間にか彼女の結界も破られている。私にそのことを気づかせないなんて相当強い妖です」
撫子をギュッと抱きしめながら苦く呟く。
「ここでは撫子の治療が出来ません。早く屋敷に帰りますよ。春乃さまは私の式神に送らせますから」
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