私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「お前はごちゃごちゃ煩い。いいから来い。お前たちは撫子のことを頼む」
琥珀と俺の式神に目を向けてそう言葉をかけたら、隼人が眠っている撫子のベッドに近づこうとする。
「俺もお留守番して撫子ちゃんの護衛をしたい……!」
「お前のその口をミシンで縫ってやろうか?」
隼人の態度にカチンときて氷のように冷たい視線を向けると、彼は硬直した。
「わー、冗談ですってば。本気にしないでよ。さあさ、行こう」
部屋を出て行こうとする彼を止めた。
「ちょっと待て」
隼人にそう命じて、撫子のベッドに行く。
「すぐに戻る」
眠っている撫子の額にそっと口付けると、隼人と一緒に部屋を出た。
「ホント、尊はお嬢ちゃん命だね。なんか見てるこっちが恥ずかしくなる」
まじまじと俺を見て言う彼に平然と返した。
「誰よりも大事だからな。別に人にどう思われようが構わない」
「溺愛だね。俺もそんな相手に巡り逢いたいよ」
女たらしの隼人が羨ましいそうに言う。
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