私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「お前、少しは加減しろ」
力のコントロールがまだまだだ。
眉間にシワを寄せて怒ると、隼人は笑って誤魔化した。
「ハハッ。火は消えたし、結果オーライでいいじゃないか」
「全然よくない」
「まだ実戦で初めて使うんだから大目に見てよ」
そんな言い合いをしながら敵の繰り出す攻撃をさけて、相手を不意打ちの攻撃で倒す。
俺が敵を羽交い締めにすれば、隼人は自分の相手を足蹴にしていた。
「お前らは何者だ?」
俺の質問に敵は答えず、手足を動かして抵抗する。
そこへまたお婆さんが現れた。
「おふたりとも大丈夫ですか?わっ……!」
敵がお婆さんに火を吹きかける。
咄嗟に俺と隼人が盾になってお婆さんを守ると、敵は煙幕を張って逃げた。
「あちゃー、逃げられたか」
「気にするな。お婆さん、大丈夫ですか?」
少し残念がる隼人にそう言うと、お婆さんに目を向けた。
「はい。私は大丈夫ですが。宿が……」
悲しそうに肩を落とすお婆さん。
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