私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
俺たちが泊まらなければ、こんなことにはならなかっただろう。
「大丈夫です。元通りに、いや、それ以上に綺麗に直しますからね。隼人、すぐに修復しろよ」
お婆さんに優しく声をかけると、隼人をギロッと見据えた。
「え〜、俺悪くないよ」
「半分はお前の責任だ。早くやれ」
不満を口にする隼人に厳しく言うと、彼は仕方ないって顔をしてしぶしぶ式神を出した。
「すぐに直して」
十体現れた式神に命じ、彼は式神が働く様子をのんびり見物。
俺も式神を出して作業を手伝わせると、修復された畳の上にゴロンと横になる隼人を見やった。
「お前も何かしたら?」
「俺、式神たくさん出すと疲れるんだよね。明日のために体力温存しないと」
その言い訳にイラッとする。
欠伸をして眠ろうとする彼の背中に思い切り蹴りを入れた。
「お前も働け!」



「もう一時間以上歩いてるけどまだ着かないの?」
< 147 / 241 >

この作品をシェア

pagetop