私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「鬼よりもそっちの方が厄介かも。他の鬼の封印まで解かれたら、最悪じゃないか」
「封印は強力だ。そんないっぺんに解けないさ。今頃、不知火家の当主たちは力を使い果たして寝込んでいるだろう」
封印を解き、鬼に緊箍児まではめたのだ。相当な力がいる。
緊箍児は天月の当主だけが使える特別な術だったはず。なのに……どうしてあいつらが使えるのか。
「当主たち?」
怪訝な顔をする彼に俺が頭の中で見たものを話して聞かせた。
「さっき丸い岩に触れた時、不知火家の当主、不知火信篤とその息子の哲馬が封印を解く光景が頭の中に見えたんだ」
あいつらの顔は宗家の集まりでも見たし、よく覚えている。
「せっかく封印したものを解放してホント呆れるね。何がしたいんだか」
「妖を使ってこの世界を支配したいのかもしれないな。不知火家の当主たちは緊箍児を鬼にはめていた」
恐らく俺が倒した赤鬼が水瀬家が管轄する街に現れたのも偶然ではないはず。
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