私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
式神を撫子のそばにつけたのは、万が一撫子が鬼に襲われてもすぐに戻るため。
式神が俺に何も連絡を寄越さなかったのは彼女が無事だという証拠。
そっと彼女の部屋に入る。
「撫子の様子は?」
俺の声で、撫子のベッドのそばにいた式神と琥珀が俺の方を振り返った。
「尊さま、お帰りなさいませ」
「あっ、尊、お帰り〜」
撫子はベッドでぐっすりと眠っていた。
彼女のそばに行き、その頬に触れる俺に式神が言った。
「撫子さまはたまにうなされる時がありましたが、今は落ち着いています」
「今日は姉ちゃんの学校休ませたんだ。姉ちゃんは行きたがってたけどね。あと、尊がいなくて寂しがってたよ」
撫子を見ながら補足説明をする琥珀の頭をポンと軽く叩く。
「そうか。琥珀も式神もご苦労だった」
「尊が帰って来てくれて安心した。じゃあ、おいらは寝るね。あふ〜」
寝ずについていてくれたのか、琥珀は欠伸をしながら消え、彼と同時に役目を終えた俺の式神も消えた。
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