私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「今はちょっと生意気」
楽しげな声だったが、耳元で囁かれる方はたまったものではない。
顔がボッと火がついたように熱くなり、どうしていいかわからなくなる。
とにかく沈黙になるのは避けたくてわざと強く反論した。
「だから、もう子供じゃありません!」
もうドキドキしすぎて心臓が口から飛び出しそうだ。この人は私をどうしたいのだろう。
「大人扱いそんなにしてほしいのか?だったら添い寝じゃすまなくなるが」
その不穏な声の響きに固まる。
「添い寝じゃすまなくなるって……?」
聞いてはいけないと自分でもわかっていたのに、好奇心が勝ってしまいつい口にしてしまう。
言って後悔したその時、彼は私をベッドに組み敷いた。
思わずハッと息を止める私に彼は問う。
「俺とお前は本当の兄妹のように一緒に育ってきた。だが、俺は秋と違ってお前と血が繋がっていない。それがどういうことかわかるか?」
「……妹とは思えないってこと?」
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