私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「こういう時だけ素直になるのな」
ククッと笑う尊を見て呆気に取られるが、我に返って彼を責めた。
「あー、やっぱり私をからかったわねえ」
「それはどうかな?」
枕に片肘をついて謎めいた言葉を投げる彼。
「本気だったってこと?」
本気だとしたら一緒に寝るのはマズい。
「今教えても面白くない。じっくり考えろ。俺からの宿題」
面白そうに目を光らせると、彼は私の鼻を摘んだ。
「……んぐ!もう、何するのよ!」
尊がからかうものだからカッとなって彼の胸をボコボコ叩いた。
そんな私を守るように彼は抱きしめてきて……。
「あまり騒ぐとみんな起きる。子供は大人しく寝ろ」
その甘い声に身体の緊張が解けていく。
多分、昔から私の一番の安全地帯は彼の腕の中なんだと思う。
安心して眠れる場所。
段々眠くなってきて、暖を求めてもっと彼の胸に身を寄せた。
「ねえ、尊。いつもそばにいてくれて……ありがと」
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