私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
この人……人間じゃない。
一刻も早く、逃げなきゃ。
一緒にいるのはマズいと思うも、身体はもう動かない。
ふと目を胸元にやると、尊に借りたネックレスの石が闇色に光っていた。
多分ずっと光っていたのかもしれないが、具合が悪くて気づかなかった。
「先生が……妖」
ショックを隠せない私。
教え方もうまくて、優しい先生だったのに……。
信じたくなかった。
夢か幻覚でも見てるんじゃあ……。
だが、次の先生の言葉にこれは現実だと悟った。
「そう、私は赤鬼の一角の煌。私が可愛がっていた紅羅がお前たちにやられたからな。これは復讐だ」
残忍な笑みを浮かべる妖。
……赤鬼の一角。
小さい頃、昔話のように父から聞いた。
妖の中でも鬼は強く、赤、青、黒の三種類がいて、一角の鬼はそれぞれ一匹ずつしかいない。
一角は鬼の頂点に立つ存在。
でも一角は三匹とも天月家の当主が封印したんじゃなかった?
どうしてここにいるの?
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