私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
尊にはもう会えない。
そう思うと悲しかったが、今までの彼との思い出が走馬灯のように頭の中を駆け巡った。
雀を生き返らせて怒られたこと。
熱を出した時、彼がずっと看病してくれたこと。
茶道で下手だと罵られたこと。
怖い時は一緒に寝てくれたこと……。
彼との思い出は数えきれないくらいたくさんある。
ああ、私……もっと尊といたかった。
でも、尊と出会えて幸せだった……よ。
もし、私が式神を使えたら、このネックレスを彼に返せるのに……。
ごめんね、尊。
約束、守れな……い。
底知れぬ闇が私を包み込み、そこで私は意識を手放した。

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