私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
10、紅蓮城での戦い ー 尊side
「やっぱり、鬼の気配はしないなあ。せっかく来たんだから、お嬢ちゃんの教室覗いていかない。ね、ね」
俺の腕を掴んでおねだりする彼の手を振り払った。
「ダメだ。お前が行くと授業がストップする」
「え〜、尊のケチ。いいよ。俺ひとりで覗きに行っちゃ……!」
俺に向かってニヤリと目を輝かせる隼人。
「行かせるか!」
この場から消えようとした隼人の首根っこを掴んだら、隣の校舎から眩い光が放たれた。
「え!何あの光!」
天に向かって大きく伸びた閃光を見て琥珀が目を丸くする。
「ホントだ。何あれ?」
隼人も動きを止めてその光に見入った。
「あれは石の……」
撫子が妖に接触した!
俺が光が放たれた場所に瞬間移動しようとしたら、「あっ、待って!」と琥珀と隼人が俺の腕を掴んでついてきた。だが、俺たち三人とも何かにぶつかり床に転がった。
ぶつけたところがじんじんと痛む。
「いって〜!」
「痛た〜!」
隼人と琥珀が呻きながらゆっくりと起き上がる。
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