私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
この感覚……前にも経験したことがある。
自分の手をまじまじと見つめる。
「悪い。……怒りでちょっと感情が乱れた」
少し呆然としながらそう返したら、隼人が苦笑いしながら突っ込んだ。
「感情が乱れたくらいであんな風にならないって。しかも、あの炎に耐えられるなんて尋常じゃない」
「だが……何の反撃も出来なかった」
そう呟いてギュッと唇を噛む。
ずっと大事に守ってきたのにこんな易々と彼女を奪われてしまった。
「で、どうする?」
俺に判断を仰ぐ隼人の顔を見据えて当然のように告げた。
「決まってる。撫子を奪い返す」
「奪い返すってどこに行ったかもわからないのに?」
驚いて聞き返す彼に目を向けず、ゆっくり目を閉じながら呟く。
「あいつは……自分の城にいる」
撫子に預けた石が俺の脳内に直接伝えてくる。
赤黒く燃え上がる城に煌と撫子がいる。
「……あっ、紅蓮城か!」
俺の言葉に琥珀が反応して声を上げるが、隼人はどこか消極的だ。
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