私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
撫子!
だが、目を凝らしてよく彼女を見ると、ちゃんと息はしているようで少しホッとした。
よかった。生きている。
俺が預けた魔除けの石のネックレスを彼女はしていない。
煌に石を破壊されたのだろうか?
だとすると、彼との戦いはかなり厳しいものになるだろう。
石が彼女を守っているならば、戦いに集中できたのにな。
勝算は全くない。
煌との距離は十間ほど。
そんな彼女の傍らには頭に二本角がある少年がいる。
煌と同じ背広を着ていて、俺が前に倒した紅羅にそっくりだったが、ひと回り小さい。
目が金色だし、彼は紅羅の後の次頭なのだろう。
「よくここまで来たな。褒めてやろう。だが、もうすぐお前たちは死ぬ」
玉座から煌がゆっくりと立ち上がると、撫子が俺たちを見て声を振り絞るようにして叫んだ。
「ダメ!ここに来ちゃダメ〜!」
< 196 / 241 >

この作品をシェア

pagetop