私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
11、私の特別な人
「尊……喉……カラカラ。尊……」
自分の寝言で目が覚めた。
身体がなんだか気だるい。
ここはどこだろう?
ひょっとして……私はもう死んでいて死後の世界にでもいるのだろうか?
確か赤鬼に襲われそうになって、尊から預かってた石がピカーッて光って、それから……いつの間にか気を失ってた。
ここは医務室ではない。
目に映るのは全く見覚えのない場所。
大理石の床。
目の前には玉座があって、まるで西欧のお城の中みたいだ。
渡辺先生……ううん、赤鬼の一角がその玉座に座り、部下の鬼たちに何やら命じている。
ゆっくりと上体を起こして気づいた。
足枷がついていて、足が重く、自由に動けない。
ここがどこだかわからないけれど、尊は私がいないのに気づいて今ごろ必死になって探しているかもしれない。
お願い。ここには来ないで、尊。
だって、感じるもの。
紅羅以上にこの煌は恐ろしい存在だ。
きっと底知れぬ力を持っているのだろう。
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