私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
私たち人間が太刀打ちできる相手ではない。
たとえ尊が強くても、簡単に倒されてしまうに違いない。
そんなことを考えていたら耳元で少年の声がした。
「お姉さん、はい、お水」
水の入ったコップを私に差し出す少年。
頭には角がふたつあって、目は金色。
「……紅羅?」
自分の血を吸った鬼を思い出して身体が強張ったが、少年は穏やかな目で否定した。
「違う。僕は紅羅ではなくて紅玉」
紅羅ではない……のか。
言われてみれば、紅羅よりもちょっと身体が小さい。
紅羅が十二歳の人間くらいだとすると、この子は十歳くらいだ。
それに彼の目からは殺気を感じない。
静かな波のような感じ。
尊から預かってる石も反応しないから、彼は危険ではないのかも。
琥珀くんのようなタイプの子なのかもしれない。
「喉が渇いたんでしょう?水、飲んで」
紅玉くんが私の手にコップを握らせる。
本当に水なのだろうか?
少し警戒してじっとその水を眺めていたら、彼がクスッと笑った。
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