私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
お兄ちゃんが怒りを爆発させるように叫んだその時、火の勢いが強くなった。
金色に光るその双眸に目を奪われる。
その目は力に満ちていた。
周囲にいた大人たちは火に襲われ、『うわあ〜!』と断末魔の叫び声をあげながら消えていく。
目の前で起こったことが信じられなかった。
だが、それで終わりではない。
山が崩れそうなほどドドドッと地鳴りがして……。
『みんな滅びればいい』
抑揚のない声でお兄ちゃんがポツリと呟く。
みんな……ってそんなのダメだよ。
お父さまもお兄さまも死んでしまう。
『お兄ちゃん、やめて!』
大声で叫ぶが、お兄ちゃんは我を忘れているのか私を全く見ない。
このままではみんな死んでしまう。
それに……お兄ちゃんだって苦しそうだ。
だって、彼の目から涙が溢れてる。
自分が焼けるとは考えなかったし、火も怖いとは思わなかった。
ただただお兄ちゃんを救ってあげたくて……。
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