私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
だとしたら、尊は天月家の者ってこと?
この石はお父さんからもらったって……。
でも、これに似た石が他にも存在している可能性もある……って今はそんなことを考えている場合じゃない。
「紅玉くん、大丈夫?」
煌に殴られてうずくまっている彼に声をかけると、ゆっくりと起き上がった。
「……だ、大丈夫。いつものことだから」
そう言ってニコッと笑って見せるが、頬が腫れているし、口元が切れて青い血が出ている。
全然大丈夫じゃない。
「ちょっとこっちにきて」
彼を手招きすると、ふらつきながらやってきた。
「何?」
キョトンとした顔をする紅玉くんに優しく微笑む。
「痛いでしょう?その傷治してあげる」
尊には禁止されていたが、どうせ死ぬんだから治癒の術を使っても問題ない。
彼の傷に手をかざして念じる。
徐々に傷が治っていくのを見てホッとする。
私のせいで殴られたのだ。
ちゃんと治してあげたい。
「ねえ、ここはどこ?」
治癒しながら尋ねると、彼は静かな声で答えた。
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