私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
尊はすかさずネックレスを掴んで首にかけた。
ああ。これできっとあの石が尊の命を守ってくれる。
煌は顔をしかめながら起き上がり、紅玉くんを睨みつけ、炎の剣を投げつけた。
「お前、私を裏切ったな」
「危ない!」
咄嗟に紅玉くんを庇うと、炎の剣が私の胸に突き刺さった。
「うっ……」
身体にズシンと衝撃がきて床に仰向けに倒れる。
「撫子〜!」
尊が青ざめた顔で駆け寄ってきて私を抱き締めると、紅玉くんも信じられないって顔で私を見た。
「撫子さん……」
じわじわ火で焼かれるような感覚。
痛くて……苦しくて……。
でも、紅玉くんに剣が刺さらなくてよかった。
「みんな……逃げて……」
囁きに近い声で言う私に、紅玉くんが泣きじゃくりながら尋ねる。
「撫子さん、どうして僕を庇ったの?」
「私の……せいで……死んで……欲しくなかった……から」
そう答えたら、尊が私の唇に指を当てた。
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