私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
尊が無表情でそう告げると、深い闇が煌の周囲に現れた。
「何だ、これは!や、やめろ!」
闇は煌の身体を覆うと赤黒い炎になった。
じわりじわりと炎が彼を焼いていく。
「うわあ〜!」
断末魔の叫び声。
紙のように煌の身体が粉々になって散っていく。
「俺に感謝しろよ。やっと永遠の眠りにつけるんだ」
冷ややかに呟く尊。
だが、様子がおかしい。
もう煌は倒したのに彼の内から溢れる炎は消えない。
それどころか勢いが増している。
まるでこの世の全てを燃やすような勢いだ。
「マズいよ。このままでは彼……暴走する。でも、僕の力ではとてもじゃないけど彼を止められない」
紅玉くんが尊を見て動揺を露わにする。
彼に言われなくてもわかっていた。
私……この感じを知っている。
いつも夢で見ていたもの。
多分、力じゃ止められない。
「紅玉……くん、お願い。私を……尊のところへ……連れていって」
必死に頼むが、彼は躊躇った。
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