私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
知り合って一ヶ月も経っていないが、いい仲間だと心から思う。
俺ひとりでは勝機などない。
撫子を救い出すには彼らの力が必要だ。
彼女首筋には煌に血を吸われた痕があり、一刻も早く助けないと危険な状態。
せめてもの救いは、撫子のそばにいる次頭らしき鬼に邪気がないこと。
まるで彼女を守っているかのようだ。
撫子も抵抗していないし、琥珀のようにいい妖なのかもしれない。
隼人と琥珀には何も言わずに結界を張った。
完全に煌の攻撃は防げなくても、何かあった時に命は助かるかもしれない。
最初、俺たち三人は上手く煌の攻撃を避けていたが、やはり圧倒的な力を前に苦戦していた。
琥珀は煌が放った火の玉に突き飛ばされる。
「うわ〜!」
琥珀の悲鳴が聞こえたが、今の俺は目の前の煌の本体の相手で精一杯。
隼人も煌の炎にやられ苦しそうだ。
だが、よそ見をしている暇はない。
煌の剣の動きが速くなり、急所はなんとかかわすが、少しずつかする回数が増えた。
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