私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「うっ……」
その細身で剣を受け仰向けに倒れる彼女。
撫子の身体を煌剣が貫いている。
自分の頭に雷が落ちたような衝撃を受けた俺。
信じられなかった。
いや、信じたくなかった。
これが現実ではなく夢だったらどんなによかっただろう。
自分に剣が刺さっていたなら、もっと冷静でいられた。
「撫子〜!」
煌との戦いを忘れ、彼女の元に駆け寄りその身体を抱きしめる。
そのそばで次頭が撫子を見て呆然としていた。
「撫子さん……」
苦しくて目を開けるのだって辛いだろうに、彼女は俺たちに微かに聞こえる声で訴える。
じわじわ火で焼かれるような感覚。
「みんな……逃げて……」
そんな撫子を見て、次頭が涙を零しながら彼女に問いかけた。
「撫子さん、どうして僕を庇ったの?」
「私の……せいで……死んで……欲しくなかった……から」
泣く鬼を慰めるように撫子が力なく笑う。
もう見ていられなくて、彼女の唇に指で触れた。
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