私の執事には謎が多すぎる ー 其の一 妖の獲物になりました
「大事にというか、水瀬家に恩があるから私の面倒を見てるだけ」
父の話によれば、尊の両親は彼が小さい時にすでに亡くなっていてうちで引き取ることにしたらしい。
うちに来た時から尊は私の面倒を見ていて、家庭教師のように勉強も教えてくれた。
「義務感であそこまでお世話はできないよ。あっ、あんみつきたよ」
店員があんみつを運んできて顔が綻んだ。
「やっぱり甘いものっていいね。幸せな気分になる。さくらんぼは私いつも最後に食べるの」
私がスプーンでさくらんぼを脇によけるのを見て春乃はクスクス笑った。
「撫子は好きなものをずっと取っておくよね」
「うん」
黒蜜がかかった寒天を口にしながら頷く。
そういえば、あんみつ食べる時はいつも尊が私の食べてるスプーンを奪って味見だけするのよね。
『甘過ぎ』って顔を歪めて……。
でも、一度とっておいたさくらんぼを彼に食べられて、怒ったことがあったっけ。
『とっておいたのに』って尊を責めたら、彼は平然と言い返した。
父の話によれば、尊の両親は彼が小さい時にすでに亡くなっていてうちで引き取ることにしたらしい。
うちに来た時から尊は私の面倒を見ていて、家庭教師のように勉強も教えてくれた。
「義務感であそこまでお世話はできないよ。あっ、あんみつきたよ」
店員があんみつを運んできて顔が綻んだ。
「やっぱり甘いものっていいね。幸せな気分になる。さくらんぼは私いつも最後に食べるの」
私がスプーンでさくらんぼを脇によけるのを見て春乃はクスクス笑った。
「撫子は好きなものをずっと取っておくよね」
「うん」
黒蜜がかかった寒天を口にしながら頷く。
そういえば、あんみつ食べる時はいつも尊が私の食べてるスプーンを奪って味見だけするのよね。
『甘過ぎ』って顔を歪めて……。
でも、一度とっておいたさくらんぼを彼に食べられて、怒ったことがあったっけ。
『とっておいたのに』って尊を責めたら、彼は平然と言い返した。